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SWAN-白鳥-
作:有吉京子
何度読んでも決して読み飽きず、そのたびに感動できる真の名作。
死ぬまでに読みたい名マンガとして、また、一般教養として押さえておきたいバレエマンガ・少女マンガの最高峰。
マンガは、私にとって貴重な知識の泉になることが多い。
SWANは、単なる娯楽だけでなくバレエの魅力や代表的な演目、クラシックバレエとモダンバレエの違いなどなどバレエに関する情報を私に与えてくれた。
だから、『ジゼル』を観に行ったときも、モーリス・ベジャールを観にいったときも、バレエをやったこともなく、詳しくもない私でもSWANの世界と結びつけて楽しむことができた。
物語は北海道の小さなバレエスクールの生徒だった真澄という少女が、ロシアの舞踊家アレクセイ・セルゲイエフに見出されるところから始まる。
前半は、真澄が発掘され、小夜子姫、葵、飛翔の4人が刺激しあいながら成長していく様子を描く。
京極小夜子の怪我、真澄の才能の開花、飛翔への恋心、真澄の母とセルゲイエフ先生の父の関係、ラリサ・青石さんとの対決、留学・・・
中盤は、東京国世界コンクール、レオンとの出会い、更に才能が花開く真澄、ライバルリリアナの出現。
後半は、NY編。モダンバレエとの出会い。ルシィとの恋、そして『みにくいあひる』でリリアナと対決。
ラストまで、物語が一分の隙もなく、確かな知識と強烈な信念によって構成されていると感じる。
先日、久しぶりに読み返して、初めて気づいたのは、京極小夜子は本当に素晴しいプリマだということだった。
前半も前半、3巻でアキレス腱を切ってしまう小夜子姫。その後の彼女の精神の成熟さは、10代の少女とは思えないほどの見事なモノ。バレリーナは、舞台上で負傷しても、死力を尽くして自力で舞台袖まで戻らなければならないと教えてくれた。
コンクールの、リリアナとの”ジゼル”対決は敗れてしまって本当に残念だ。
そして、後半のNY編からが私は特に好きだ。
コンクールまでは、バレリーナの”内面”を自己表現すると言っても、モダンバレエのそれよりもまだ必要とされていなかった。
ルシィとの恋愛、レオンとの関係を通じて、自分の内面をさらけ出し、甘ったれた自分から脱却する真澄。
才能ある少女が、色々努力して、どんどん上手になっていくっていう、そのプロセスをとても苦悩に満ちたものとして描かれている。
有吉先生の、あの汗の描き方は、バレエに対する敬愛を表しているように思う。
バレエはただ踊ることではなく、確かな基礎技術と血の滲むようなレッスン地獄、そして何よりも自分の内面と向き合って高めて、自己表現をしてこそだということが読者にしっかりと伝わる。
最後に、このマンガの一番のミソは、リリアナとの対決で世間的には認められずに名声を手に入れられないことだ。
ジャンプなんかで連載されていたら到底認められないこの図式を、読者に爽やかな読後感を残して描ききっている。
大バッシングされた次の日、一人レッスンする真澄にリリアナが
「私、15歳まで生きないだろうって言われたの・・・」と話しかけるシーンは、毎度毎度涙なくしては読めない。
ここで真澄が挫折感を味わうことで、レオンと”永遠のパートナー”となることが一層ドラマチックになる。
真澄もレオンも、お互いに「好きだ」の「愛してる」だのとは決して言わなかった。
ダンサーとして結ばれることはそういうことではないのだ。
それは、真澄母とセルゲイエフ父との恋物語でも同じメッセージが描かれている。
コテージみたいなとこで
「踊ろうか」
と真澄に言うレオン。
それがSWANの愛の言葉。
本当にこの作品は語り尽くせないほどに素晴しい。
最近のバレエマンガに『昴』がある。これも読み応えがあっていいのだけれど、この作品には及ばない。
オマケ:現在、SWAN MAGAZINE にて、真澄とレオンの娘が主人公の話しを連載しているらしい!
絶対にチェックせねば。
下記サイトを発見。『まいあ』らしいね。
■SWAN magazine ONLINE
余談:この『SWAN』、山岸凉子先生の『アラベスク』と話がよく似ていると思う。『アラベスク』もここ数年読んでないので、その時にでも考察したい。
posted by fukumimi : 2006年10月06日 23:14

